昭和六一年(一九八六年)
七八歳

三月、高柳克也『藤枝静男書誌』(湯川書房)が刊行される、全册に署名。同月、『日本の名随筆41嘘』(作品社)に「泥棒女中」が収録される。九月、浜名湖会。この年一一月、島尾敏雄出血性脳梗塞のため死去。

 

書誌序文   
高柳克也著『藤枝静男書誌』(三月二〇日湯川書房)限定二〇〇部(署名落款)・特製本三〇部(識語─編者の手元にあるものは「寓目愚談」─署名落款及び柄澤齊の木口木版画による藤枝静男肖像)  序文(単行本未収録。本書の署名について「中日新聞」五月四日「このごろ」欄に藤枝静男の談話が紹介されていて「一千冊近い本にサインしろというんだよ。これには参ったなあ」とある。実際は二三〇部である)

尾崎さんのこと   
尾崎一雄展〔神奈川近代文学館三月二八日〜五月五日〕図録  随筆(単行本未収録 「尾崎さんのこと」昭和五九年の座右寶についての部分を抜き出し改稿。本図録の「歿後十年志賀直哉展」昭和五六年編集会議のスナップ写真で藤枝静男。なお本稿は「神奈川近代文学館」第一二号四月一日に転載)


昭和六二年(一九八七年)
七九 歳
三月から六月にかけて刊行の『志賀直哉小説選』全四巻を阿川弘之,紅野敏郎と編集(第四巻巻末に「本書は、昭和四八、九年刊行の『志賀直哉全集』に収められた全小説一二二篇の中から六四篇選び、これに『創作餘談』と解説を付して、全四册として編集したものである。作品選定は編者の合議によって行われた」とある。また本書出版案内パンフレットに本多秋五が言葉を寄せている。「志賀直哉は『我』からの脱却に長い時間を費やしたが、初めから『我』を持たない人間に『我』からの脱却のあるはずがない」)。九月、浜名湖会。なおこの年七月、富士正晴死去。


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